Visionary Works 東京ミッドタウン
棚部 裕貴

テナントのエントランス部分、床面積で5.5uだけをリニューアルする小さなプロジェクトである。既存テナントのダンススタジオを新規テナントのトレーニングジムへと入れ替えするにあたり、必要最小限のデザインを行った。
テナントは東京都心部の代表的な大規模商業コンプレックスの中の美容・健康産業が集約されたゾーンに位置し、複数のテナントと共に白色を基調とした共用廊下に面して並んでいる。テナントにとって共用部分は建築における外部空間であり、共用廊下は前面道路であり、共用廊下の壁面はファサードである。このテナントの共用廊下壁面は他のテナントとの調和を図るため、手を加えることを制限されている。そのため、外観の表現は開口部から覗き見ることができるインテリアでしかすることができない。
インテリアの床・壁・天井を黒色で仕上げ、ファサードの白色との対比させることによって、共用廊下を行く人の注意を喚起することを狙った。また、黒色のインテリアの中に受付カウンターとなる白色の家具を床から浮遊させることによって、もう一対の対比のレイヤーを追加し、その効果を高めた。 建築と外部との関係を作るように、テナント専用部分と共用部分との関係を作ることをインテリアデザインによって試みた。